川崎浮世絵ギャラリー

 川崎でお支度があり、帰りに川崎駅すぐそばに去年できた『川崎浮世絵ギャラリー』へ立ち寄りました。

 今、『小林清親 光と影』と銘打ち展示されています。

 美術には興味はあるけれど苦手意識がある私ですが、少しずつお勉強中です。

ちょっとまとめてみましたので、どうぞお付き合い下さいませ。


 浮世絵とは あの世に対しての「憂き世・うきよ」つまり俗世を描いたもので、 挿絵から始まり一つの独立した作品として美人画、役者絵、名所絵があります。 

 なるほど、だからその時風がよく描かれるのですね!

 

 着物の世界にとって浮世絵とは 現在の着物の形が完成した江戸時代のものを垣間見、検証する資料として用いられます。

 友禅染めのような絵画的な着物の模様や小紋の紋様は 絵師や浮世絵師が描いたもので、それをまとめたものが小袖雛形本(柄の見本帳)です。 浮世絵の祖、菱川師宣も『当世早流雛形』や絵師・宮崎友禅斎『友禅ひながた』など小袖雛形本を出しています。 浮世絵師が大いに着物に関わっているのですね。 (そもそも友禅染めは扇絵師の宮崎友禅斎に「着物に絵を描いて」と客から頼まれたのが始まりという説が一般的です。)

 ですから、浮世絵を知ることは着物を知ることに通じます。


 さて、その手法は 肉筆画(菱川師宣『見返り美人』など)と木版画。 墨摺丹絵、紅摺、錦絵と時代を下るとともに多色使いになっていきました。 また一枚摺と大量生産できる版摺があり、後者は江戸時代の大衆のメインメディアであり、楽しみでありました。美人画や役者絵はアイドルのプロマイドであり、当時の流行の色や柄の着物、化粧のあり方を知るものでした。 また風景画は旅の世界に胸膨らませるものであったことでしょう。今で言うならインスタでしょうか?!


 制作には

版元があり、企画を元に絵師へ依頼。

すると、

絵師は絵を描いて、

彫師が原版を彫って

摺師が印刷するという

なるほど〜分業で行われていたのですね。 友禅染めのようです。

 

 では 小林清親とは? また、どんな作風だったのでしょうか?

 小林清親は 江戸時代末期に幕臣の子として生まれ、その後、絵師になり明治に活躍したまさにラストサムライならぬ『ラスト浮世絵師』になります。さらに言うなら、『幕府崩壊後の江戸が東京に移り変わるその風景』を描いた浮世絵師です。 

 ですので、写楽が描いた歌舞伎役者や鈴木春信が描いた美人画でなく、また葛飾北斎が描いた名所画というより、う〜んそれより主に街の風景を描いた浮世絵師と言った方がピントが合っているような気がします。  

(後期には風景画、風刺画や美人画のようなものもあります。詳しくはギャラリーにてご覧ください。)

 清親は誰かに師事したことはなく、イギリス人記者チャールズワーグマンに西洋絵画の手法を習ったとか(通説)。浮世絵師でありながらどことなく西洋の香りがして、当時は浮世絵師ではないと言う人もあったそうです。  光を意識しており『光線画』と呼ばれます。

 



 浮世絵と小林清親のことを 少しなぞったところで、今回の展示の内容についてです。

テーマは『光と影』です。

 私がポイントとしたのは3つ。


 まず手法としての『光と影』

 錦絵は重ね刷りをして、表現をします。 普通は5〜6回、多くても10回だったと言います。 小林清親の光線画は沢山の版木を用し、今回の展示の『猫と提灯』では なんと35回摺!!

 (コストも気力も慎重さも必要ですね。型友禅も豊かな表現の為に何度も摺りわけます。)

 その多い重ね刷りによって 西洋風な独特な『光線画』といわれる光を意識した表現ができたのですね。 この作品の提灯の明かりとその空間のグラデーション、猫の毛質感も見所です! 

 

 また、描かれているものの 『光と影』があります。 

蛍と闇、夕陽と人影、闇夜と火事の炎、前期展示の『新橋ステーション』の駅の明かりと夜空(駅舎の灯りと傘、濡れた地面に映る明かりが印象的です。)。 

 もちろん、直接的に描かれている光と影がありますが、 時代背景として 明治の文明開花と江戸時代への郷愁も『光と影』かなと思いながら見ていました。よく見たらポスターにもそう書いてありました。

 着ているものが着物だったり洋服だったり、建物なども洋風へ変わっていく様も作品を追っていく中で見ることができます。 人力車や鉄道、街灯もまさにそうですね。


 さらに、彼の人生の『光と影』。 

 幕臣(鳥羽伏見の戦いに参戦している)、そして絵師へ。 浮世絵から風刺画を描いたり、古典回帰したり、展示にはありませんでしたが戦争画も描いたそうです。 作品を年代ごとに追っていくと彼自身も時代に翻弄されたことがわかりました。



 私はこのような視点からこの展示を見てきました。

今回は着物の資料としての浮世絵ではありませんでしたが、これも時代が変わる時の貴重な資料浮世絵ですね。大変面白く拝見しました。


 皆さんも是非川崎浮世絵ギャラリーへ行って現物を観てみてください。

この展示は12/20までです。 場所は 川崎駅アトレ口からデッキを歩いてすぐです! 小規模のギャラリーですので、川崎に寄ったついでに寄ってみるのもありだと思います。


お支度前に川崎大師へお参り。

今年七五三を迎えた方々のご成長をご祈念してきました。

川崎大師名物 久寿餅をお土産に

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