きものトリビア【浴衣と木綿の着物】

 先日、レッスンで 浴衣と 木綿のきもの の違い質問されました。

わかっているようで わかっていない。 そんなことが多い着物の世界のあるあるです。

 今回、できるだけわかりやすく まとめたいと思います。


まず、結論。

木綿のきものは 
 襦袢を着て半襟を見せて着物を着る場合で通年着用可能、


浴衣は 襦袢を着ずに夏に着る。




 では詳しく解説します。


<素材>

木綿の着物は 文字通り 木綿素材です。

 一般的には先染した糸を平織、しじら織り、かすり織りなどし、一色の無地や縞模様、格子、かすり模様が表現されます。


*織りのきものとは 糸を染めてから織った生地で作ったもの、裏にも同じ色柄があればそれです。 染めの着物とは白生地を織ってからそこへ色柄をつける着物をさす。 

 

一方、浴衣、 素材は 主に綿、 麻などとの交織の場合もあります。

 主に平織や紅梅などの生地で、長板中型、小紋染めなどの型染め、注染、絞り板染めなどを施します。


<基本的な着用の仕方・シーン>

 木綿の着物は 他の着物と同様に襦袢を着、半襟を見せて、通年着用します。

在宅着、カジュアルな着物として着ます。 イメージとしては 綿シャツにスカート・スラックスといったところ。

帯は半幅帯や名古屋帯を合わせます。

足元は ご自宅以外は足袋を履き、下駄や軽い雰囲気の草履。


 *例外として、久留米絣や綿薩摩などの高級綿織物では洒落袋帯などをしてカジュアルより高めなシーンに着用することもあります。旅行のほか、色柄、時間帯によってはホテル、同窓会などもいいのではと思います。

 

 浴衣は 下着の上に直接きます。 襦袢はきません。

 着用は7、8月のみで、在宅着、カジュアルなシーンです。イメージとしては Tシャツと短パンといったところです。

半幅帯や兵児帯をつけ、足元は基本素足に、下駄を履きます。

お祭りや花火はもちろん、友人知人同士での夏のお出かけに 昼に夜にもぴったりです。

(踊りなどのお稽古ごとでは通年着たりするようですが、足袋は履きます。)


 *浴衣は 湯帷子(ゆかたびら)という浴用や湯上がりに着ていた衣類が語源です。

ですので、極々カジュアルな物という理解なのですが、今日では 夏のお出かけ着や観光地を味わうコスチュームとして定番化しています。

 


写真 なでしこ柄の綿紅梅地 

こちらの浴衣なら襦袢と紗博多織などの名古屋帯で 夏着物としても良いです。

写真は浴衣として着ていますが、帯締めをして 着物風に着ています。




<応用編>

 染めの浴衣でも 技法や素材によっては 夏着物として着用できます。

紅梅の生地

で古典柄、有松絞りや板締め絞り、型染めでも柄や雰囲気によっては 襦袢を着て、半襟を見せて着用することで 木綿の着物として 着用できます。その分、着用場所に幅がでます。

 浴衣として作られているものですから、生地の厚みや柄を考慮して、 7、8月にプラス6月でも暑ければ着用できる場合もありそうです。その時は足袋を履き、下駄のほか、パナマや畳などの夏らしいの草履を履けば見た目にも涼しげで 高級ホテルや美術館でも安心して入れます。

 ただし、いかにも浴衣!というような綿コーマなどの生地や柄などは 浴衣として着用した方が良いでしょう。

 *木綿の染めでも紫根染めや茜染など 着物として作られているものも稀にあります。


 また、木綿の着物も 生地の厚みなどによっては浴衣として着用できます。

薄手のしじら織りは 暑い夏にはサラッと着ら

れて特にオススメです。


 

 木綿の着物と 浴衣の違い、わかっていただけたでしょうか? 

重なるところはありますが、 基本が分かれば 安心ですね。 

 これから暑い季節になります。 洗える木綿や浴衣は重宝しますので、また他の着物にはない自由さがあります。 思い切り楽しんでいただければ嬉しいです。 

 また着物への入門として最適ですよ。



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