きものトリビア【蚕】蚕起食桑
七十二候では 今日から 『蚕起食桑』(カイコ起き桑食べ始める頃)です。
今日は お着物には欠かせないお蚕さんの お話です。
お蚕さんは 蛾 (が)の仲間です。
絹糸は そのお蚕さんが履いた『まゆ』からできています。
卵から孵化すると5回脱皮をして大きくなります。 そして、糸を吐き『まゆ』を作ります。
そこでサナギになり、 約2週間で成虫になります。 成虫になるまで約1ヶ月です。
そのお蚕さんが履いたまゆから 絹糸をいただきます。
今ほとんどの絹糸は 家蚕(かさん)糸といって 養蚕のまゆからできてます。 野蚕(やさん)糸といって天然のお蚕のまゆから採れるものもありますが、数はごく僅かです。 こちらは 生成色の家蚕に対して、 黄色や黄緑色をしており、やや小さいのが特徴です。産地や餌によって変わるそうです。
お蚕さんからもらったまゆを原料にした糸には
『生糸』きいと と『紬糸』 つむぎいと があります。
生糸は まゆから糸口から1本の糸を引き出して、数本より合わせて作ります。
一粒のまゆから引き出される糸は 約800〜1200mです。(ちなみに グリコは1粒300m。)
この作業は『繰糸』と言います。
自動でできたものは『自動繰糸』といい、伝統的な手作業では 『座繰くり糸』といいます。
一方、紬糸は まゆを茹でて柔らかくしたものを糸口から指で広げて 掌3つ分くらいに伸ばして重ねた『袋真綿』(コットンの塊ようなもの)からできています。
その綿を指で少しずつ引き出して糸にするのが、『手つむぎ糸』します。
無形文化財の結城紬では これを使っており、 着物一反分約350枚の袋真綿が必要とします。世界で唯一方法による糸作りです。
また手紡糸機を使って引き出したものは『手紡糸』になります。塩沢紬など。
さらに紡績機で紡いだ『絹紡糸』もあります。
さらに糸を精錬したり、よりをかけたり、染めたりして、そして織りなどの様々な加工してへて、一枚の反物が出来上がります。
そこから 呉服屋、仕立て屋を経て、一枚の着物になります。
すごくないですか? 本当に 山や養蚕のまゆから手元まで まさに旅する着物。
大切にしたいですね。
最後にもう一つ、トリビア。
日本在来蚕の品種で、皇室の紅葉山御養蚕所で 皇后さまがお育てになっているのが
『小石丸』です。 このまゆから取られた絹糸は 正倉院に送られ 古代裂の復元などに役立てれています。
桑の葉 家蚕の餌になります。
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