生活を豊かにする手工芸品【棕櫚箒】
最近、生活の色々を見直しています。
去年の春 リフォームをしたのでその延長でもあり、
さらに おうち時間が増えたので、ずっと気になっていること家の中のあれこれを 見直し、手を加えて快適な空間を目指しております。
今回、新たに入手したのは 『棕櫚(しゅろ)の箒(ほうき)』です。
棕櫚とは、ヤシ科の常緑樹で
水に強く、耐久力に優れる棕櫚の皮は、古くから箒を中心に
束子(たわし)や縄など 日用品の材料に使われてきました。
箒に使うと、棕櫚に含まれる自然の油分が畳・床にツヤを与え、長持ちします。
その歴史ははっきりわかっていませんが、江戸末期にホウキモロコシの箒ができるずっと前より使われていたようです。 江戸期のものは浮世絵にみることができます。
和歌山の伝統手工芸品。 今も自然派の方々に大変人気のものです。
さて、使ってみると
程よく腰があり 掃きやすく、
床板の隙間の砂埃や カーペットの表面の汚れや髪の毛も よく取り除いてくれます。以前使っていたホウキモロコシのものとは比較にならないくらいです。
壁下の巾木の上の埃もささっと払えますし、
小箒は棚やテーブルのチリも手軽に掃くことができます。
掃除機とは違い 時間を気にせずに使えますし、
省エネ、運動にもなって一石三鳥どころか、四鳥、五鳥です。
手作りゆえ 少々高価ですが、長持ちするので コスパも良いですね。10年以上は持つとか・・・ありがたい。
ただ、形が崩れぬように吊るして保管します。痛んできたら、玄関やベランダ用へ転用します。
いい事づくめのですが、問題があります。
それは 材料不足・・・。
ここ50年ほどは 国産の棕櫚から製品にできる品質のものは取れず、 ほとんどが輸入原料になっているそうです。 悩ましい問題ですね。
ここで プチ『きものトリビア』です。
絹製品で使われる絹のうち、国産原料はな、なんとまさかの約1%です!!
(これは『きもの文化検定』2013年第8回1級問題に出ました! しかし、この正解は2010年のデータであり、最新データとしては 生糸においては 国産生糸のシェアは0.2%です。農林水産省 令和元年9月文書より )
明治時代に世界に誇った日本の絹も 今はこのように悲しいことになっております。
伝統工芸品は 材料不足、後継者不足が大きな問題と言われて久しいですね。そこには複雑な訳が絡み合ったいるのです。
あ〜ぁ、できることはAIに任せて、人間は心豊かなで 自然に囲まれた生活をしながら、工芸品を作ったり、使ったりして、エコでサスティナブルな生活や社会が目指せたら・・・なんて思います。 現代のユートピアか はたまた桃源郷か。
ただ手をこまねいているわけではなく、 プロジェクトも進められています。
天然素材で、手作りの温もりがある棕櫚の箒。 使い勝手も良く、エコでサスティナブル!
使う人が増え、後継者や材料を育てる活動が活発になってくれることを望みます。
私が使っているのは 室内用の『皮箒』で 毛が細かく しなやかで ふわふわの綿埃はもちろん細かいチリまでとってくれるものです。 (他に『鬼毛』というしっかりした毛の種類もあります。びっくりするほど高価です。)
床や畳用の片手箒、さらに 出しっぱなしの小箒、卓上箒(写真の2点)。気になる時にすぐに使えます。
う〜ん、なんだか愛おしい・・・ 麻布で可愛いカバーでも作ろうかしら?! など考えています。
0コメント