チャレンジ【仕立て】ステテコ 素材〜静電気
先日、着物でお出かけした時に 裾に静電気が起きて困りました。
裾がまとわりつき 裾が上がって スネは見えるし、 歩きづらいしと散々でした。
湿度が低く、化繊の下着が原因です。
改善するために、改めて静電気について調べ、 きものの下着の素材を見直し、 絹のステテコを作ることにしました。
このページでは 静電気のこと、 下着の素材と着心地について 一般的なこと&私の体験をお伝えして、着物生活のご参考にしていただければと思います。
また、私同様に着物周りの手作りが好きな方にも読んでいただけたらと嬉しいです。
自分の記録のため、長文です。(汗)
静電気について
<静電気のメカニズム>
素材によってプラスの電気、マイナスの電気が帯やすいものがあり、静電気は それらが擦れ合うことで発生します。 電気は湿気があるときは発生しにくいが、乾燥した季節は帯電しやすく 摩擦で放電しパチパチっとします。
<素材別帯電分類>
大きい順に
マイナス: アクリル> ポリエステル >アセテート
プラス: ナイロン> ウール >レーヨン
帯電しにくい:絹
帯電しない:綿、麻
<発生しやすい組み合わせ>
ずばり、マイナス X プラス。
例えば
ポリエステルのスカート X ナイロンのタイツ
ポリエステルのフリースジャケット X ウールのセーター
心当たりのある納得の組み合わせです!
<発生しにくい組み合わせ>
発生しにくい素材を組み込む。
例えば、
ポリエステルのアウター X 綿シャツ
ウールのセーター X ウールのマフラー
<静電気のデメリット>
不快のパチパチ発生! 素材同士が張り付く。 ホコリを呼び、衣服が汚れやすい。
<結論>
同素材の組み合わせ、発生しにくい素材を使うこと。
特に乾燥時期は 異素材を避ける。
やっぱり天然素材は良いですね。
素材について
衣類の素材は 分類すると 天然繊維(植物・動物)と化学合成繊維に分かれます。
<天然素材>
綿は 綿花より取り出した綿が原料の植物繊維。
他に麻も代表的な植物繊維です。
衣類としてはとても優秀です。 通気性、発色もいいし、扱いやすい、静電気が起きないのが特徴ですが、シワになりやすい、縮むなどの弱点もあります。 着物の下着としては滑りが悪い。
絹は お蚕様が作った動物性の繊維。 人間の肌に親和性があり、優しい。保温性と通気性にとみ、染料に染まりやすい。滑りも良い。 デメリットは 摩擦に弱く、お手入れに手間がかかる。カビやすい。
他には ウール、カシミアなどがあります。
保温性があるが、縮みや乾きにくいなど洗濯などの取り扱いや 毛羽立ち、摩擦に弱い、虫に食われるなどの弱点もあります。
<合成繊維>
天然由来と石油由来、その両方を使ったものがあります。
安価で、乾きやすいなどのメリットがあります。
石油由来は ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン。
これらは 安く、家で洗えて、摩擦に強いので、現在衣類に多く使われています。
特にポリエステルは 国内生産NO.1です。
ポリエステルは 滑らかで滑りが良いので、着物の下着しやすい。 静電気が起きやすいデメリットもあります。
天然由来の再生繊維
キュプラは 綿花より綿を取り出した後に残った種の周りについている短い繊維(コットンリンター) を原料に 銅アンモニア法という方法で取り出した再生繊維のことです。
1928年、ドイツのベンベルグ社が開発し、日本では旭化成で導入・製作、現在は旭化成がベンベルグの名で製造しています。(詳しくは旭化成ベンベルグHPをご覧ください。)これはキュプラの一種です。
レーヨンは 木材パルプ由来の再生繊維です。
この2つは静電気が起きにくいのは天然由来の材料だからです。 滑らかで、下着にも使いやすいです。しかも短期間で土に還る素材です。 摩擦に弱いなどのデメリットもあります。
ポリエステルなどよりは高額。 確かに高価なコート裏などはキュプラを使ったものがあります。
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プチ情報!
各種繊維の特徴は 『きもの 文化検定1級』には必須の知識です。ちなみに世の中で出てきた順番も覚えておくと良いでしょう。
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着物の下着について
裾よけや腰巻には 腰部分に綿、 下部に化学繊維が使われています。 特にポリエステル素材が多く、価格的にも安く主流です。 他にナイロンが混合しているものやベンベルグ のものがあります。 メリットとしては 滑りがよく、歩きやすい、洗濯など扱いも簡単で、耐久性もあります。滑らかさはありますが、汗を吸い取った時の不快な感じがあります。 ベンベルグは綿由来でその点は優秀ですので、高価ですが使う価値があります。
実体験として、化学繊維は ひんやりした触感覚があり、保温性が低いので、冬は寒く感じます。 キュプラも同じです。
また、ステテコは 麻や綿素材があります。 洗濯など扱いは簡単で、汗は吸い取ってくれます。しかし、着用時の速乾性はないので大汗の時はべとつきがあります。(そんな時は平織でなく、楊柳がお勧めでサラッとした肌触りです。) また、滑りが悪く、綿や麻素材の下着では歩きづらいです。
洋服のものを代用するとナイロン素材もあります。
いずれの形も絹素材がありますが、高価格です。
<結論>
それぞれに利点があり、これが一番というのはない。
静電気の起きる条件や肌触り、着心地を考え、以下のような組み合わせになります。
◯絹の着物・長襦袢には 以下の下着が良い。
ベストは 絹。
肌触りよく、裾捌きよい。静電気も起こりにくい。デメリットとして高い、洗濯には注意が必要。 ただし、高額。
次に 綿・麻。 扱いが簡単。 ただ、多く歩いたりするのは 滑りが悪く不向き。
そんな時はキュプラ。静電気が全く起きないわけではないが足捌きは綿や麻より良い。
やや高価になる。
◯ポリエステルの着物・長襦袢
ベストは 綿や麻。 静電気が起きない。汗を吸い取ってくれる。ヒンヤリしない。
取り扱いも簡単。安価に手に入る。
次がポリエステル。
◯綿や麻の着物・長襦袢
ポリエステルなどの化繊の下着。扱いがよく、裾捌きが良い。安価で手に入れやすい。
しかし、夏場によく着る素材の着物で、汗をかくので、ポリエステルはベタつきも気になります。その時はパウダーなどを活用するのも手ですね。
以上の結論です。
総論としては肌に触れるものは 天然素材が一番良い。
特に肌が弱い人はやはり絹が一番良い。扱いやすいシルクを選び、洗剤も専用のものを手に入れるのが良い。
キュプラも良いけど、ヒンヤリするので真冬は使いたくないので、それ以外の季節で使う。
(ベンベルグのHPには保温性あると書いてありますが、実感として冬の外歩きは寒いです。)
ポリエステルなどは 手入れしやすいので、綿麻の時など便利に使いたい
といったところです。
では 現在、愛用の下着は
キュプラの裾巻き薄手、厚手2枚、 綿のステテコ、 ナイロンメイン素材 のペチパンツです。
先日静電気の原因を作ったのは ナイロン素材のペチパンツでした。
(ナイロンのペチパンツ + 正絹の長襦袢 + 正絹の着物)X 歩数多め
= 静電気大量発生
歩数多めとは たくさん歩いたという意味です。
この組み合わせでも 自宅での着用などあまり活動量が少ない場合は 静電気起きていません。 素材の掛け合わせ プラス 歩いて擦れ(摩擦)があったことが原因ですね。
キュプラの裾巻き1枚は 薄手で使いやすく、主に春から秋にかけて使っています。
もう一枚のキュプラの裾巻きは 厚手で重みがあります。
両方、静電気を気にしたことがありませんが、 ひんやりした肌触りで 真冬は寒く感じるので あまり使いたくありません。
通年、使っているのは 綿のステテコです。 楊柳で さらっとしていて 洗濯も楽チンですので 一番出番が多いです。 静電気の心配もありません。
ただ難点がひとつ。 裾捌きが悪く 裾が上がってきてしまい心地悪いのです。
以前、ポリエステルやナイロン素材のものもありましたが、静電気があるのでやめました。
ナイロンメイン素材は綿や麻の着物の下着として活用。
今回、うっかりと着用してしまったのが、不快な静電気の発生につながりました。
結局、動きに快適な下着がないのに気がつきました。
何かとしなくてはと 思い立ち、 絹素材を手に入れることにしました。
長い文章をお付き合いいただき、ありがとうございます。
次回は早速ステテコの作り方です。
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