チャンレンジ【草木染め】蘇芳

 草木染め 蘇芳(すおう)編です。

おうち時間を使って 草木染めをどんどんやってみます。


 今回は 購入した染料材・蘇芳を使って 草木染めをしました。

また、媒染剤も追加した。

 このページでは その色の違いをご紹介したいと思います。


まず、

予備知識

 蘇芳は インド、マレー半島、インドネシアなど熱帯地方原産マメ科の樹木です。日本には生息していません。染料としては 芯材のチップ状が材料屋さんで購入できます。

 歴史は古く、 奈良時代に蘇芳で染められた和紙が正倉院に残されています。また『延喜式』(平安時代)には蘇芳を材料にしたことが記されています。

 媒染剤によって、やや暗めの赤や青紫になります。


 媒染剤

 草木染めの染液・色素 と 染める素材を 金属イオンの働きを使って結びつけてくれるものです。

アルミ(Al)媒染は 硫酸アルミニュウムカリュウムを使います。 ナスの色止めでお馴染みのミュウバンや焼き明晩も同様に使えます。 銅(Cu)、鉄(Fe)他にも錫やチタンもあります。 

 同じ染料でも 使う媒染剤によって染まる色が変わるものが多いです。

 (科学的なお話はもっと知識が深まったところでお伝えしようと思います。)



材料と作業

 

<材 料>

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染料材   : 蘇芳(チップ)

       染める生地の20%

生地   : 綿100% 晒、テスト用 絹サテン・楊柳生地100% 

濃染剤(木綿用) : 豆乳(茂蔵・濃厚豆乳)と水=1:2

       (木綿・麻は色の定着が悪いので濃染処理が必要です。そのわけは次回に。)


媒染剤  : 明晩(Al)15%、 銅(Cu)媒染剤5%程度、鉄(Fe)媒染剤5%程度

       (生地の重さに対する割合)


 染料・媒染材料購入 : 田中直染料店ネット販売(京都)

    

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<作 業>

ー 前日ー

 ① 木綿生地を洗う。70度程度で丁寧に汚れを落とす、5分くらい。

  絞る。 

②   濃染処理。豆乳液を丁寧に揉み込む。15分位。

③ 絞って干す。


ー当日ー

④ 染料液を作る 

 材料を鍋で煮る。

  1.5Lの水と蘇芳10g 20分煮出す。>>>一番液

 (今回生地の総量が50gだったので、10gの蘇芳で20%です。)

⑤ その間、生地を熱湯で5~10分くらい洗う。しっかり絞る。

 (木綿は濃染済みの木綿も同様。)

⑥ 先媒染 

 アルミ(Al)媒染剤に布がしっかりつかる水量の熱湯をボールに入れてかき混ぜる。

 生地を入れて、気泡を抜くように液体につける。

  *液が生地に浸かるように上下左右かえしながら混ぜる。

 15分で取り出す。


⑦ 流水で生地を洗う。*しっかりと洗う 


⑧ 染液(70〜80度)に生地をつける。5〜15分*気泡を抜くように 上下左右かえしながら 生地を揺らす。 

⑨ 流水で生地を洗う。軽く絞る

⑩  後媒染 それぞれ、鉄(Fe)媒染液、銅(Cu)媒染液につける。

 5分程度。

最後 よく洗って、絞って、干す。


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色の違い 

写真の通りです。


絹は 

 アルミ媒染で 黄色がかった赤、

 銅媒染で青みより近づいた濃い赤。

 鉄媒染剤であれば紫色になったはずです。やり逃したので、後ほど切り取ってやってみます。



綿は 

 Alで 濃いピンク(青味と黄みの中間)、

 Cuは 青味が増したピンク、

濃染処理のおかげで濃く染まっています。 

 Feは 暗いピンク=紫でした。(とても薄付きです。媒染剤に入れた途端に色素がだいぶ抜けました。どういう理由か今はわかりません。)

 


課題

 染料は 生地に対して20%にしました。 思ったよりも可愛い赤色になりました。

蘇芳といえばもっとくすんだ赤になると思っていました。

乾燥材料は20~30%位と以前参加したワークショップで聞いたので、次回は30%位まであげてみようと思います。 

 また、蘇芳は染液が濃く出るので 二番液三番液も作り混ぜ合わせると しっかりとした染料液になると本で読んだので、 試してみます。

 さらに媒染剤の色の違いははっきり理解しましたが、濃度によっての違いも見てみたいです。

  草木染めは褪色があります。特に蘇芳は褪色しやすい染料です。

ただいまテスト中です。結果が出たら報告します。


 

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プチ情報

 和のパーソナルカラー診断で使っている 『深蘇芳』(ふかきすおう)。

大人の女性でも似合う色です。 この赤茶色の深い色はどれだけの材料を使っているのでしょうか?

 蘇芳に限らず、草木染めは 濃い色を出すためには 材料をたくさん使います。

古代〜中世の輸入品は超・超レアものですから、貴族しか使えないものも納得。輸入品に限らず、 特に濃い色の衣装は位の高い証だったのですね。


 蘇芳は 鉄媒染で紫になり、紫根染めの紫に対して 『似せ紫』とも言われます。 

(藍染+蘇芳、もしくは藍染+茜 にもその様にいいます。この辺の知識は 『きもの 文化検定』の出題範疇です。)

 

 『蘇芳の襲』(すおうのかさね)は 蘇芳の赤色の濃淡グラデーションで 冬の重ね色と染司よしおかの吉岡先生は記しています。(『源氏物語の色辞典』)


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後書き

 染料の濃さ、媒染剤だけでなく、生地の素材でも今回のような違いがでました。

これが草木染めの楽しみなのですね。 

いろんなものを いろんな方法で 染めてみたくなります。 

 歴史の中で語られたり・残されてきた色、源氏物語はじめ文学で語られてきた色、きもの 文化検定のため、もちろん伝統色彩士協会で勉強した伝統色。それを実際作ってみて、とても高揚します。

 また、草木染めを通じて、 色々な草木・自然にも 関心が高まっています。

完全にハマっております! 

 我ながら 着物をきっかけに 楽しい生活・人生になってきているなぁ〜と思います。


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 さて次回は

蘇芳染で、

木綿のハンカチ

木綿・晒の手拭い(絞り)

絹の靴下 を

染めた過程と出来栄えをご紹介します。




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