クローズアップ・足袋編

 先日は 着物を始めるための第一歩として 揃えるものをご紹介しました。

今回は 後回しになりがちな 足袋について クローズアップしたいと思います。 


 足袋は 足の保護や汚れ防止の為に履きます。 さらに快適さの為や 疲れを出さないようにしたりあったものを、お洒落にも と用途に合わせて賢く使い分けできるように、

・色・柄・素材

・こはぜの数・雨の日に

・足形と選び方・数え方・お手入れ方法

ご紹介したいと思います。 

 最後に 足袋に注目することになった意外なきっかけも お話しします。


 その前に とても面白いので、 まずは『足袋の歴史』から。


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  足袋のもとは古く 5世紀頃、装束とともに中国より入り、 平安時代は 『襪(しとうず)』というもので、 絹の素材で、高貴な方が履き物の前に履くものでした。(庶民はずーっとしばらく裸足です)

 また、武士(野人)が履いていた鹿の皮でできた『単皮(たんぴ)』が 足袋の語源とされています。(*諸説あり)

 先はまだ二股に破れておらず、 紐で結ぶものでした。 

 二股になったのは 室町時代です。 特に白は武士が儀礼にのぞむ時に履いたので、 今日の『礼服には白足袋』という習慣ができました。

 さらに時代は下って、 江戸時代に火事が多く、 火消し(今でいう消防士)が用いたため、 皮の需要が多く 品薄に。 ちょうどその頃 木綿が普及し 木綿の足袋が定着しました。 (明治時代には 全階級で 木綿足袋が普及しました。一般庶民もやっと手に入れました。長い道のりでした!)

 江戸末期には 中国から入ってきた財布の金属の留め金にヒントを得て、『こはぜ』ができました。最初は 2つから、 今は2〜6枚ものがあり、 4、5枚こはぜが主流です。

 

ということで 現在の形に至りました。

  

 足袋一つにもこんなに歴史があり、 とても興味深いですね。  (面白すぎて、着物周辺の興味・勉強は尽きません。多分一生・・・)

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 さて、 現在の足袋についてです。


<色> 白一色が一般的で、ほかに色無地もあります。特に男性の足袋は白以外に黒、紺や茶なども一般的です。汚れが目立ちにくいので、色足袋も普段着に活用できますね。

 ただし、礼装・紋付、お茶席には必ず白を用います。


<柄> 柄も色々、普段使いの足袋は柄を楽しむことができます。花柄や動物柄などプリントや刺繍はもちろん、キラキラストーン付きなどもあります。 最近は浴衣にレースの足袋が流行です。


<素材> キャラコ、ブロードという綿の平織が主流で、ほかにナイロン、麻、絹、ベルベットやネルなどもあります。キャラコは目が詰まっていて見た目にも美しいです。 普段使いにはブロードであっても、「ここぞ!」という時は 最高級キャラコを使いたいですね。

また、綿は他の素材に比べて 絹の着物を痛めにくいという利点もあります。

 とはいえ、ナイロン素材のストレッチ素材も普段使いには重宝します。

 裏の素材も晒しやネルだったりと 履きごごち、調温・調湿に工夫があったり、形状記憶やシワ防止加工も。 季節や好みにあわせて使いわけます。


*絹は婚礼用。 

*礼装・紋付、お茶席には綿素材の白の足袋を用います。

*足袋の底面は綿素材が 草履の上で滑らず良いです。 ナイロンなどは 草履がツルツル素材だと滑って歩きにくいです。 ナイロンのストレッチ足袋でも 底面が綿のものをお勧めします。これ以外と落とし穴です。


<こはぜの数>

 4、5枚が主流です。 

4枚は関東で、5枚は踊りをする方、関西で好まれているようです。

5枚は足首をしっかりと覆い美しいですが、少々窮屈です。苦手な方は4枚で良いでしょう。私も4枚派です。 

 また、靴下様で こはぜないものもあります。 カジュアルな装いの時に使います。


<雨の日に>

 汚れ防止に 防水加工の『足袋カバー』を足袋の上から履きます。

訪問先に着いたら脱ぎ、失礼のないよう心配りができます。 


<足形と選び方> 長さのほか、幅の並、細型〜ゆったりサイズ、甲高い低いまであり、メーカーにより足形が違います。

測り方は各社HPなどにありますので、興味のある方はお調べください。 

 「ちょっときついかも」 くらいのピタッとしたものを選びます。シワをなく美しく履け、足をしっかりとホールドして疲れにくく 長時間過ごすことができます。

 私は 『福助』や『きねや』が好みです。

 ストレッチ素材は 多少のサイズ違いや足形を気にせずに使用でき、便利です。


<数え方> 一足二足(そく)・・・と数えます。

 サイズはcm(センチ)一般的に0.5刻みで販売しています。

以前は『文(もん)』1文=0.8寸(曲尺)、10文(ともん)=約24cmでした。


<お手入れ方法>

 手洗いをします。

 爪先や底はとても汚れます。 容器に洗剤を入れて、少しつけてから 古歯ブラシやたわしを使って汚れを落とします。特に汚れている時は固形石鹸を使用します。

 (写真:愛用品、 馬毛のブラシ と 固形石鹸はウタマロです。)

 その後、洗濯機に入れてもOKです。(ネットをご使用ください。) 強い脱水やねじり絞りは形崩れの原因になりますので、ご注意ください。

 干す時は シワを伸ばし、形を整え、留め糸があるの上を洗濯バサミで挟んで干します。 間違っても爪先を摘まないでください!

 仕上げに アイロンをかけます。 ①内側をかかとの方向へ。②次に底面を。③親指かかとへ。④外側爪先からかかとへ。⑤外側の足首へ。 ⑥最後にこはぜの部分、外側からかけます。  


 お洒落は 足元から、着物も同じですね。

白く、ピンと張った足袋は清潔感があり、大人の女性の着物姿には欠かせませんね!  


 少しでもご参考になればと思います。



 さて最後に 足袋に注目することになったエピソードです。

 実はここ数年、足袋をとても見直しております。様々なメーカーさんのものを試したりもしています。

 理由は 近年足の横アーチが崩れて、足に不安が出てきたからです。

軽症ですが、内反小指で 足が幅広に・・・(涙) 病院で、テーピングを勧められましたが足がかぶれることに。

 そこで、洋服でも家では 足袋を履くことに。

 それが、それはそれは 快適なのです。 きっちりと足形にあった足袋は 足の形状を保ち、疲れにくくしてくれます。また綿素材なので蒸れず、快適です。

本当に再発見でした! お困りの方には声を大にしてお勧めしたいです!

 ただし、毎日使うので、 擦り切れ擦り切れで 消費が早いです(汗)。 とはいえ、健康な足元には 替えられませんね。


 擦り切れはしかたありませんが、汚れが取れなくなったものは染めなどを施して楽しむ方法もあります。また今後そのようなこともお伝えできればと思います。


 *外反母趾の方はちょっと痛みが出るかもしれません。無理せず、着物着用時にはストレッチ足袋もご活用ください。 

 


 長文、最後までお付き合いいただきありがとうございました。 

今回は 足袋について 詳しくお伝えしました。

たかが足袋、されど足袋。 奥深いですね。

 歴史でなるほど!と思っていただき、 自分にあったもので快適に、 また、素材や色柄でお洒落に 着物の装いにプラスしてみてくださいませ!!






 



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