クローズアップ【長さの単位、数え方】
着物に関することや物を詳しくクローズアップして お伝えする クローズアップシリーズ。
本日は 着物にまつわる 『長さの単位』と 『数え方』についてお届けします。
お着物のサイズは 4尺1寸7分 など表記され、『鯨尺(くじらじゃく)』で測ります。
鯨尺は 1寸=約3.78cm
1尺=37.8cm です。
昔、鯨の髭(ひげ)を用いて、布の長さを測っていたところからきています。
(脱線ですが、この髭は張りと弾力があり 色々なものに使われていました。 布の長さを測る時に使ったのはもちろん、武士の裃(かみしも。江戸時代、お城で着用する出仕着)の肩の張り(ピンと張った方の部分)に、傘の骨や扇子の要、海外ではバイオリンの弦に使われている(た)のは有名です。鯨の種類で質が違ってそれごとに用途があったようです。)
一番上の数字は私の着物身丈です。 ちなみに 袖丈は1尺3寸=49.3cmです。
かつて、着付けの先生に 「1尺は 手先から肘までの長さが約1尺よ」と教えられました。 個人差はありますが、本当にそうです。
さて、本題に戻り
<長さ>
着物や布の寸法
鯨尺
1丈(じょう)=10尺 = 3.788m
1尺(しゃく)=10寸 =37.88cm
1寸(すん)=10分 =3.78cm
1分(ぶ)=10厘 =3.78mm
1厘(りん)=10毛(もう)=0.37mm
(距離を測る 曲尺(かねじゃく)とは違います。 こちらは 1尺=約30.3cm、1寸=約3cm、この一寸は親指の長さで 昔話の一寸法師はこの一寸です。)
和装の世界は今も 『鯨尺』を使います。
仕立て屋さんも もちろん、これで依頼を受けます。
この頃はネットで反物を買って 仕立てに出すことも多いので 自分のサイズ表を鯨尺で持っておくことは重要です。
個人では 着物を仕立てた時のサイズ表を保管しておくのが一番です。
ない時は 一番自分にぴったりする着物のサイズを測ってみるといいでしょう。
メートルに慣れ親しんだ私には いまだにピンとこないこともあります。
センチで測ったものを 一瞬で換算してくれるアプリやサイトがあるので、便利です。
ぜひ、探してみてください。
このようなメジャーも売っています。 表はcm、裏には鯨尺で表記してあります。 便利ですので、持っていれば、自分の着物もさっと測れますね。
私は 骨格診断の時にも使っています!
また、もう一つのトピック、数え方です。
着物にまつわるものには 今はあまり使わなくなったものの数え方をしたりします。 今日は少しですがご紹介します。
きもの文化検定には2級までは1問は出題されていますので、勉強にも役に立ちます。ぜひ覚えてください。
<数え方『数詞』>
着物用の布、一巻き(一般的に 幅36~7cm)
1反(たん)、2反・・・
着尺(きじゃく)=大人1人分のきものを作るのに必要な長さ、
3丈=12m弱ですが、今は12mあるものが多いです。
羽尺(はじゃく)=大人1人分6〜7分丈の羽織やコートを作るのに必要な長さ、
9〜10m(今流行の長羽織は 着尺分1反=12mで作ります。)
足・足袋
長さは 10文(もん)=24cm
今はほとんどcm表記で販売しています。知識として覚えておくのみで大丈夫です。
草履も 今ほぼSMLサイズ表記です。
この文(もん)は 『一文銭』*の長さからきています。一文銭いくつ並ぶかで足の長さを測ったのです。(*江戸時代の最低額の貨幣、「寛永通宝」の一文銭が有名。興味がある方は ネットで検索。もしくは東京都中央区の日本銀行 脇にある 『貨幣博物館』へおいでください。楽しいですよ。)
数え方は 1足、2足です。 今と同じです。
この他
・小袖、能衣装など 『領』
・打掛 『枚』『襲』
・帯 『本』『条』『筋』
・袴 『枚』『腰』
・冠、烏帽子 『頭』(とう)
・織物 『反』、2反分で『匹、疋 (ひき)』 2疋=4反となります。
・足袋、草履、下駄 『足』
・タンス 『棹』
・櫛 『枚、本、具』
・蚊張 『張、条、垂』
・衣桁(いこう) 『架』 着物をかける道具
・几帳 『基』 今でいう 仕切りやパーテーション、 着物・帯の文様にも
・扇 『本、握(あく)』
・帖紙(たとうかみ)『帖(じょう)』
・傘 『本、柄、張』
・蝶 『頭(とう)』 着物・帯の文様にも多く使われています。
・巻物 『巻』 着物・帯の文様にも使われています。
普段、きものは 近年では『小袖』とも言わないですし、 「一枚」や「1着」と呼ぶことが多いです。
いかがだったでしょうか? 今では馴染みのないものも多かったと思います。
今はもうこんな数え方はしないよ!っと言われそうですが、 着物が好きな方、ぜひ、知識として頭の片隅に入れておいてください。 時代劇のセリフにも出てきたら「そうそう!」と頷いてくださいませ!(笑)
今回もお付き合いいただき、ありがとうございまいた。
仕立てには 竹でできた定規を使います。
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