クローズアップ【晒】
先日、チャレンジ【半襦袢を作る】で『晒』(さらし) を使いましたが、生地の質に疑問を持ちました。 そもそも晒しってということから どんな晒しが良かったのかなど 丁寧に調べました。
・晒とは、晒しの方法
・種類と用途、産地
・和装への活用
に分けて、クローズアップしてみました。
<『晒し』・『晒』(さらし)とは>
織物や糸から不純物を取り除き漂白する工程、
そのままでは染色に適さない木綿や麻に対して行われる。
また漂白された糸でできた織物。
<方法>
・現代では 過酸化水素水、晒し粉などを用いて科学的に色素を抜く方法が主。
・伝統的な方法は
『雪晒し』積雪と日光を用いた方法
『天日晒し』『野晒し』天日とまき水を用いた方法
*いずれも水と太陽光で行われる晒しの原理
太陽の紫外線で 水が水素と酸素に分離し、酸素やオゾンが働き、漂白する。
『晒し』のみで 晒木綿を表わしたりする。
<木綿>
下帯、襦袢、腹巻、肌着、袴、手拭い、包帯、腹帯などに用いられる。
知多晒(愛知)が有名
<麻>
野州(やす)晒(滋賀県)や 奈良晒が有名。
余談ですが、今でも奈良の中川政七商店の麻綿製品は有名ですね。
*着物では麻
『雪晒し』の越後上布(条件を満たしたものは『ユネスコ無形文化遺産』、国の重要無形文化財)、
『海晒し』の八重山上布が有名です。
今回は 『木綿晒』 を深堀します。
<晒しの質>
糸の太さと質と 織りの密度によって種類があります。
・文晒
20番手の太めの糸を使い、ざっくりと目が粗く織られ、
通気性と吸水性が高く、台所での布巾や掃除など日用品に。
・特文
肌着に。目が詰んでいるので染に適し、手ぬぐいの生地で使われています
・岡晒
文生地より細い30番手の糸を使って織ったもの
目が細かく触感はしっとりとして柔らかい生地になります。
・特岡
さらに目が細いもので染に最適で 浴衣や手ぬぐいに用いられています
特に 浴衣と言えば「特岡」でした。
特岡生地は、晒の中では最高級ですが、「カード糸」を使い凸凹がありざっくりした風合いで、さらりとして着心地です。
・コーマ
特岡と30番手で糸の細さも同じなのですが、
短かい繊維の除去と繊維の平行度をより良くする工程を経た高級糸「コーマ糸」を使用しています。
艶があり、生地面がより一層平滑なところから、染め上がりが美しいのが特長で、もっぱら浴衣の生地として使われる。
コーマの滑らかさが逆に「体にまとわりつく」ということも。
・ガーゼ晒し
細い糸の平織で 目の粗い晒しで、
日本では綿紗(めんしゃ)とも呼ばれる。
通気性に富み、吸湿性も良いので、台所用や下着の他、
医療用にも用いられる。
先日、半襦袢に使ったのはこちら。襦袢としてはやはり心許ない目の粗さです。やはり肌着の方がふさわしいと思いました。
次回は岡生地か特岡で作りたいです。
(今回の半襦袢作りは、突発的であり、家にあるものを使用したため 私的には失敗ではないです。 ガーゼや晒しは 今 マスクを作ったりする方のために購入を控えました。)
綿の浴衣は涼しいようで、意外と暑い! と予々思っていました。
もちろん吸湿性があり、洗えるので、汗をかく夏にはもってこいの生地ですが、コーマ生地は目が詰まっていて生地自体には涼しくは感じないというのは あながち間違ってないのだと思いました。 汗ばむとベタベタしてまとわりつく感じも苦手です。
夏の綿生地であれば、 絽や 変わり織の紅梅もしくは しじらが さらっとしていて好きです。 そしてコーマより 特岡の方が良さそうです。
さて、他の晒しの活用は
ガーゼ、文晒・・・ 肌着、体型補正
岡晒・・・・半襦袢や 裾よけの腰布に
と分けて 利用したいと思います。
今回、改めて知った晒しのこと。
いつも家にある身近な『晒』ですが、わかったつもりになっていましたが、知らなかったことも多く、勉強になりました。 種類による使い分け、自分にあった選択が可能になりました。産地と歴史もとても興味深く、スペースの関係で文章にしなかったこともありますが、楽しく知ることができました。
私にとっては 備忘録として、
和装好きの方にも ご参考になれば嬉しいです。
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